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ひんやりスイーツは手作りが正解! ゼラチン・寒天を上手に使い分けるコツ②

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ゼラチンより前から、日本伝統の食用凝固剤として使われてきた寒天。ひんやりスイーツの手作り派が増えて注目され、最近はダイエット中の間食や、凍らせて夏場のお弁当のデザート兼保冷剤がわりにするなど新しい使われ方も! 第➀弾のゼラチン編に続いて、寒天ならではの特徴、メリットとその活用法をご紹介します。

和菓子には欠かせない、寒天の原料と使い方

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寒天の原料はテングサ、オゴノリなどの海藻で、90℃以上に沸騰させて煮溶かしてから使います。スーパーでも買える手軽な粉末寒天のほか、棒(角)寒天、糸寒天の3種類があり、粉末寒天は食品工場で作られますが、棒寒天や糸寒天は煮溶かした海藻を固め、極寒の時期に天日干しで凍結乾燥させるのが伝統的な作り方です。

★粉末寒天……水に浸して戻す必要はなく、水とともに鍋に入れ、沸騰させて煮溶かす。一般的な粉末寒天4gの凝固力は、棒(角)寒天1本約8g、 糸寒天約8gに相当する。

★棒寒天(角寒天)……適当な大きさに割ってたっぷりの水に2~3時間浸して戻し、やわらかくなったら絞る。鍋にちぎり入れ、透明感が出るまで煮溶かす。

★糸寒天……たっぷりの水に1~2時間浸して戻し、糸状の形を活かしてそのまま使うか、棒寒天と同様に煮溶かす。和菓子職人によく使われる。

棒寒天、糸寒天は長く浸水させただけ、やわらかくなって煮溶かしやすくなりますが、粉末を含めて、煮溶かした寒天が固まる温度は約30℃以下です。常温でも固まるのが特徴で、寒天液に砂糖やあんを加えて固めると、おなじみのようかんになります。

また、一度固まった寒天は煮ないと溶けませんが、離水しやすく、時間がたつと固まった部分から水分が出てきます。作った後はなるべく早めに食べきることが、寒天をおいしく食べるポイントです。

寒天とところてんは厳密には少し異なりますが、じつは、ところてんを棒や糸状にしたものを天日で干すと寒天になります。

歯切れのいい寒天ならではの食感

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寒天は凝固力が高く、ゼラチンのような弾力や粘性はありませんが、口の中でかむとホロッとくずれる食感が楽しめます。歯切れがよく、ツルンとしたのど越しのよさも特徴です。

棒寒天や糸寒天は、粉末寒天に比べると、ややねっとりと粘りのある食感に仕上がります。和菓子職人などのプロが棒寒天や糸寒天を使うのは、粉末寒天ではそうした仕上がりにすることが難しいためです。ただし、砂糖を大量に使うと、どの寒天も同じような食感になります。

液や具を加えて固まらないときは……

果汁や牛乳を固めるとき、粉末寒天を直接加えて加熱し続けると、固まらない場合があります。粉末寒天は扱いやすいとはいえ、水で煮溶かして寒天液を作り、火を止めてから牛乳や果汁を加えるほうがおすすめです。このとき、冷たい牛乳や果汁を加えるのもNG。分離して固まりにくくなるので、牛乳や果汁は人肌程度に温めてから合わせると万全でしょう。

具を入れるときは、寒天液が熱いと余熱で具の色や風味が損なわれるので、寒天液の粗熱をとってから入れると安心です。

また、寒天は酸に弱く、酸味の強いフルーツなどを加えるときは、寒天の凝固力が弱まります。寒天液を多めに調整し、粗熱をよくとってから加えましょう。

寒天のメリットをもっと活かそう!

食物繊維と食感を活かす ⇒ 和菓子に最適。ダイエットや美肌にも

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水ようかんをはじめ、あんみつ、みつ豆など、和のひんやりスイーツにはやはり、寒天の食感がしっくり馴染みます。酵素の働きでゼラチンにはNGのキウイフルーツなども、寒天なら固まり、和洋折衷の寒天ゼリーも人気です。

そもそも、寒天は海藻が原料で食物繊維が豊富なうえに、そのままならゼロに近い低カロリー食材。「水寒天」「水まんじゅう」「豆かん」など、涼を呼ぶ和菓子も手作りすれば、砂糖やあん、みつを控えめにするなど、カロリーコントロールが可能です。ダイエット中のおやつにすれば食物繊維源にもなり、腸活に役立って美肌にもつながります。

凝固力・透明感を活かす ⇒ 浮かべて楽しむ寒天アート

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透明な寒天を水辺に見立て、金魚をモチーフにした夏の和菓子を目にしたことありませんか? 寒天は砂糖を加えると透明感が増し、あんや餅などで作った飾りを浮かべれば、そのまま固まって常温でも溶けず、涼感や好きな世界感を表現することもできます。食用できればいいので、和菓子でも使われる桜の塩漬けやエディブルフラワー、フルーツ、ハーブなどもOK。アートのような寒天ゼリーをSNSなどにアップする人も増えています。

溶けない性質を活かす ⇒ 暑い季節のお弁当の保冷剤がわりに

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冷蔵庫から出すと溶け始めるゼラチンと違い、常温で固まって溶けないことは寒天の大きなメリット。凍らせて半解凍にすると、寒天の粒がシャリシャリとしたフローズン寒天ゼリーに。この溶けても液体には戻らない寒天の性質を利用して、夏場のお弁当の保冷剤がわりに役立てる人も多いようです。小さめの容器に作って凍らせ、お弁当箱に重ねてクロスで包めば、昼どきにはちょうど半解凍くらいになり、そのままデザートとしても楽しめます。

断面もきれいな「フルーツミルク寒天」が映えると人気!

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フルーツサンドと同様、ごろごろとフルーツが入って断面も楽しみ! そんなしっかり固まる寒天の性質を活かした**「フルーツミルク寒天」**の手作り派も増えています。牛乳寒天は昔ながらのおやつですが、乳脂肪分の多い特濃牛乳や練乳を加えたり、アーモンドミルクで作るなど、より濃厚なコクを出すのが最近の傾向です。色とりどりのフルーツを具にして、透明な容器で作ったり、ババロア型などホールで作れば、断面の美しさが映えポイントに。

ゼラチンも寒天も、特に粉末タイプはお菓子の材料としては安価。暑い季節の節約おやつとしてはもちろん、料理の裏ワザ、のみ込むのがつらいときの栄養摂取、カロリーコントロールなど、それぞれのメリットを活かして、日常生活でもっと役立てて使いこなしましょう!

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